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    セキュリティコラム

    IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」で初登場 AIの利用をめぐるサイバーリスクと企業の対策

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    EXOセキュリティ
    Apr 14, 2026
    IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」で初登場 AIの利用をめぐるサイバーリスクと企業の対策
    Contents
    IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」でAIリスクが初登場「情報セキュリティ10大脅威」とはH3: 「情報セキュリティ10大脅威2026」トップ10なぜAIの利用が新たな脅威として注目されたのかAIの利用によって生じる主なサイバーリスクAIツールへの入力による情報漏えいAIを悪用したサイバー攻撃の高度化偽情報やなりすましなどのリスク企業におけるAI利用で起こりやすいセキュリティ課題社員による無秩序なAI利用利用ルールやガイドラインの未整備セキュリティ教育の不足AIを安全に活用するために企業が取るべき対策AI利用ガイドラインの策定機密情報の取り扱いルールの明確化AIツールの選定と利用管理社員へのセキュリティ教育の実施まとめ

    近年、生成AIをはじめとするAI技術は急速に普及し、企業の業務にも広く活用されるようになりました。文章作成や情報検索、データ整理など、さまざまな業務を効率化できることから、多くの企業がAIの導入や活用を進めています。

    しかし、AIの普及は利便性をもたらす一方で、新たなセキュリティリスクを生み出しています。実際に、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表した「情報セキュリティ10大脅威2026」では、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めてランクインしました。

    AIの利用が急速に広がる中で、企業が適切な管理やルール整備を行わなければ、情報漏えいやサイバー攻撃のリスクが高まる可能性があります。

    本記事では、「情報セキュリティ10大脅威2026」の概要を紹介したうえで、AI利用に伴う主なサイバーリスクと企業が取るべき対策について解説します。

    IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」でAIリスクが初登場

    AI技術の進展に伴い、企業のIT環境は大きく変化しています。こうした背景の中で、2026年版の「情報セキュリティ10大脅威」ではAI利用に関するリスクが新たに取り上げられました。まずは、このランキングの概要とAIリスクが注目されている理由を確認します。

    「情報セキュリティ10大脅威」とは

    「情報セキュリティ10大脅威」は、前年に社会的影響が大きかったサイバー攻撃や情報セキュリティ事故を分析し、重要な脅威をまとめたものです。

    IPAが2006年から毎年公表しており、企業のセキュリティ対策の参考資料として広く利用されています。

    このランキングは、情報セキュリティ分野の研究者や企業の実務担当者などで構成される選考会による投票をもとに決定されています。企業がどのような脅威に注意すべきかを示す指標として、多くの組織でセキュリティ教育や対策検討に活用されています。

    参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA) 「情報セキュリティ10大脅威」

     

    H3: 「情報セキュリティ10大脅威2026」トップ10

    2026年版の組織向けランキングでは、以下の10項目が主要な脅威として挙げられています。

    1. ランサム攻撃による被害

    2. サプライチェーンや委託先を狙った攻撃

    3. AIの利用をめぐるサイバーリスク(初登場)

    4. システムの脆弱性を悪用した攻撃

    5. 機密情報を狙った標的型攻撃

    6. 地政学的リスクに起因するサイバー攻撃(情報戦を含む)

    7. 内部不正による情報漏えい

    8. リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃

    9. DDoS攻撃

    10. ビジネスメール詐欺

    この中でも特に注目されているのが、今回初めてランクインした第3位「AIの利用をめぐるサイバーリスク」です。生成AIの急速な普及により、AIの利用が新たなセキュリティ課題として認識されるようになったことが背景にあります。

    なぜAIの利用が新たな脅威として注目されたのか

    AIが脅威として注目された理由の一つは、企業での利用が急速に拡大していることです。文章作成、情報整理、データ分析など、多くの業務で生成AIが活用されるようになりました。

    しかし、その一方で、社員が業務情報をAIツールに入力することによる情報漏えいのリスクや、AIを悪用したサイバー攻撃の高度化など、新たな問題も顕在化しています。

    AIは企業の生産性向上に大きく貢献する技術である一方、適切な管理を行わなければ、新たなセキュリティリスクを生み出す可能性があるのです。

    AIの利用によって生じる主なサイバーリスク

    生成AIをはじめとするAIツールは、様々な業務を効率化できる便利な技術です。しかし、その利用方法を誤ると、新たなセキュリティリスクを招く可能性があります。ここでは、企業が特に注意すべき代表的なリスクを解説します。

    AIツールへの入力による情報漏えい

    AIツールを利用する際には、質問や指示(プロンプト)としてさまざまな情報を入力します。その中に、社外に公開されていない機密情報や顧客情報、社内資料の内容などが含まれていた場合、情報漏えいにつながる可能性があります。

    多くのAIサービスはクラウド上で提供されており、入力されたデータをサービスの改善や学習に利用する場合があります。そのため、社員が業務上の資料や顧客情報などをそのまま入力してしまうと、企業の管理権限が及ばない場所で再利用されるリスクがあります。

    また、AIに入力した情報は、ツールの設定や利用条件によってはログとして保存されることもあります。こうした仕組みを十分に理解しないまま利用すると、意図せず機密情報が外部に流出するリスクが高まります。

    AIを悪用したサイバー攻撃の高度化

    AIは企業の業務を効率化するだけでなく、攻撃者にとっても有用なツールとなり得ます。近年では、AIを利用してサイバー攻撃を効率化・高度化する事例が指摘されています。

    例えば、AIを利用することで、より自然で説得力のあるフィッシングメールを大量に作成することが可能です。従来の不審なメールは文法の誤りや不自然な表現から見分けられる場合もありましたが、AIが作成した文章は自然であるため、受信側が不審に感じることは少なくなるでしょう。

    また、AIを活用することで、攻撃手法の調査や攻撃コードの作成が容易になる可能性もあります。こうした状況は、サイバー攻撃のハードルを下げる要因となり、企業にとって新たな脅威となっています。

    偽情報やなりすましなどのリスク

    AIによって生成された画像や音声、動画は非常に精巧であり、実在の人物と区別がつきにくいケースも増えています。こうした技術はディープフェイクと呼ばれ、偽情報の拡散やなりすましに悪用される可能性があります。

    例えば、企業の経営者や担当者になりすました音声や動画を用いて、不正な指示を出すといった詐欺犯罪や、企業に関する偽情報がAIによって作成され、SNSなどで拡散される事象も発生しています。

    こうした偽情報は、企業の信用やブランド価値に影響を与える可能性があるため、企業としても無視できないリスクとなっています。

    企業におけるAI利用で起こりやすいセキュリティ課題

    AIの導入を進める企業が増える一方で、適切な管理体制が整備されていないケースも少なくありません。AIの利用が広がる中で、企業はさまざまなセキュリティ課題を認識しておく必要があるでしょう。

    社員による無秩序なAI利用

    AIツールの多くはインターネット上で簡単に利用できるため、社員が個人の判断で業務に利用するケースが増えています。

    例えば、文章作成や資料作成を効率化するために生成AIを使ったり、業務の調査や分析にAIツールを活用したりすることは珍しくありません。しかし、企業が利用状況を把握していない場合、どのような情報がAIに入力されているのかを管理できなくなります。

    AIの利用実態が見えないと、情報管理やセキュリティ対策を十分に行うことが難しくなるでしょう。

    利用ルールやガイドラインの未整備

    AI技術は急速に普及しているため、多くの企業では社内ルールの整備が追いついていないのが現状です。

    例えば、どのような業務でAIを利用してよいのか、どの情報をAIに入力してよいのかといった具体的なルールが定められていないと、社員は自分の判断でAIを利用することになります。その結果、機密情報の入力や不適切な利用が発生する可能性があります。

    明確なガイドラインがない状態では、社員がAIを安全に利用するための判断基準が不足してしまいます。

    セキュリティ教育の不足

    AIのリスクについて社員が十分に理解していないことも、企業にとって大きな課題です。

    AIは便利で使いやすいツールであるため、メリットばかりに目が向きがちですが、その裏には情報漏えいや不正利用といったリスクが存在します。こうしたリスクを理解しないまま利用が広がると、意図せずセキュリティ事故を引き起こすかもしれません。

    AIを安全に活用するためには、社員がAIのメリットとリスクの両方を正しく理解することが重要です。

    AIを安全に活用するために企業が取るべき対策

    AIは適切に活用すれば、企業の業務効率化や生産性向上に大きく貢献する技術です。そのため、AIの利用を単に禁止するのではなく、安全に利用できる環境を整えることが重要です。ここでは、企業が取るべき主な対策を紹介します。

    AI利用ガイドラインの策定

    まず重要なのは、AI利用に関する社内ガイドラインを整備することです。AIの利用目的や利用範囲、禁止事項などを明確にすることで、社員が安心してツールを活用できる環境を整えることができます。

    例えば、AIを利用できる業務の範囲や、生成された情報の取り扱い方法、AIの回答をそのまま業務に使用する際の注意点などを具体的に定めることが考えられます。

    こうしたガイドラインを整備することで、AI利用のリスクを抑えながら活用を促進することが可能になります。

    機密情報の取り扱いルールの明確化

    AI利用において特に重要なのが、機密情報の取り扱いに関するルールです。

    顧客情報、個人情報、未公開の経営情報、契約内容など、機密性の高い情報はAIに入力しないといった明確なルールを定める必要があります。また、AIにデータを入力する前に個人名や固有名詞を伏せ字にする(マスキング)、あるいは匿名化処理を行うなどの対策も有効です。

    社員各自がどの情報なら入力してよいのかを理解できるよう、具体的な例を示すことも重要です。

    AIツールの選定と利用管理

    企業として利用を認めるAIツールを選定し、IT部門が管理することも重要な対策の一つです。

    セキュリティ対策やデータ管理の仕組みが確認されたサービスを導入することで、社員が安心してAIを利用できる環境を整えることができます。また、利用状況を定期的に確認し、必要に応じてルールやツールの見直しを行うことも重要です。

    こうした管理体制を整えることで、無秩序なAI利用を防ぐことができます。

    社員へのセキュリティ教育の実施

    AIの安全な利用には、社員一人ひとりの理解と意識が欠かせません。そのため、AI利用に関するセキュリティ教育を実施し、リスクと対策について理解を深めることが重要です。

    例えば、AI利用の基本ルールや、機密情報の取り扱い、AIが生成した情報の確認方法などについて研修や社内資料を通じて周知することが考えられます。

    AIを安全に活用するためには、技術的な対策だけでなく、人の意識や行動を含めた組織全体の取り組みが重要になります。

    まとめ

    生成AIの普及により、企業の業務環境は大きく変化しています。その一方で、「情報セキュリティ10大脅威2026」で示されたように、AIの利用には新たなサイバーリスクも伴います。

    企業がAIを安全に活用するためには、利用ルールの整備、ツールの管理、社員教育など、組織としての取り組みが不可欠です。AIの利便性を活かしながら、適切なセキュリティ対策を講じることが、これからの企業活動において重要になります。

    AIは今後も業務の重要な基盤となる技術です。だからこそ、リスクを正しく理解し、安全に活用できる体制を整えることが企業に求められています。

     

     

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