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  • 2024.12.17. 閉域網とは?専用線とVPNの違いと選択のポイント



    現代の企業ネットワークでは、安全かつ効率的な通信環境を整えることが重要です。

    その中で「閉域網」は注目される選択肢の一つといえるでしょう。


    本記事では、閉域網の種類や専用線とVPNの違い、さらにセキュリティ面について解説し、選択のポイントを整理します。

     

      

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      1. 閉域網とは?どのような種類がある?

      閉域網は、企業や組織が情報を安全に共有し、通信を行うためのプライベートなネットワークのことを指します。

      ここでは閉域網の基本について理解し、いくつかの種類にわけて解説します。

       

       

      1-1. 閉域網とは

      閉域網とは、インターネットのような一般公開されたネットワークではなく、特定の利用者間で通信を行うためのネットワーク環境です。企業内の通信や拠点間のデータ交換を保護し、セキュリティを強化する目的で利用されます。


      閉域網の実現のため、主に以下の4種類の仕組みを活用することが一般的です。


      ● 専用線

      ● インターネットVPN

      ● IP-VPN

      ● 広域イーサーネット

       

       

      1-2. 専用線

      専用線は、通信事業者が提供する物理的な通信回線を使った閉域網の一つです。

      専用回線は通信速度が安定しており、外部からのアクセスが制限されるため、高いセキュリティを確保できます。ただし、高コストとなる点が課題です。

       

       

      1-3. インターネットVPN

      インターネットVPNは、通常のインターネットを利用しつつ、通信を暗号化する技術で安全性を確保する方法です。専用線に比べて低コストで導入できますが、通信品質や安定性はインターネット環境に依存します。

       

       

      1-4. IP-VPN

      IP-VPNは、通信事業者のネットワークを利用してVPNを構築するサービスです。

      インターネットVPNよりも安定性が高く、セキュリティが強化されている点が特徴です。専用線ほどのコストはかからず、幅広い企業に採用されています。

       

       

      1-5. 広域イーサーネット

      広域イーサーネットは、LANに適用されるイーサーネット技術をベースとしながら、より広範囲のネットワーク接続を提供するサービスです。高速に大量のデータを効率的に伝送できるため、高品質な通信を可能にします。ただ、設定が複雑で、運用管理に専門性が要求される点は課題といえるでしょう。

       

       

       

      2. 専用線とVPNの違いやメリット・デメリット

      専用線とVPNには、それぞれ特徴や課題があります。

      どちらが適しているかは、使用目的や予算によって異なるため、違いをしっかりと理解することが重要です。

       

       

      2-1. 閉域網の専用線とVPNはどこが違う?

      物理的な通信回線を使う専用線は、通信の高速性と信頼性を確保し、複数の拠点間でデータを転送するネットワーク接続手法のことでした。


      金融機関などでは、専用線を使用して複数の拠点間を接続し、高速の金融取引を実現しています。 それに対してVPNは、データを送受信する2点間で、仮想的なネットワークのトンネルを構築することで、高いセキュリティのもと通信を行う技術です。


      やり取りするデータは、暗号化の技術で通信を保護し、まるで専用線で接続されているかのように、リモートアクセスや広域ネットワーク接続を実現します。

       

       

      2-2. メリットとデメリットを比較

      専用線とVPN、それぞれのメリットとデメリットを整理しましょう。


      ・専用線のメリット

      専用線は、物理的に専有された通信回線を使用するため、他のユーザーの影響を受けず、安定した通信速度を維持できます。この特性により、大量のデータ通信やリアルタイム通信が求められる場面で優れたパフォーマンスを発揮します。


      さらに、専用線は外部のネットワークと物理的に分離されているため、セキュリティが非常に高く、データの盗聴や改ざんのリスクを最小限に抑えることができます。


      ・専用線のデメリット

      専用線の利用には高いコストがかかる点がデメリットといえるでしょう。通信事業者への利用料や、回線を新たに敷設する際の設置費用など、初期費用だけでなくランニングコストも高くなりがちです。


      また、専用線の設置には物理的な回線の敷設が必要であるため、時間と手間がかかります。新しい拠点を追加する場合も同様です。


      ・VPNのメリット

      VPNは専用線と比較して、通信コストを大幅に削減できる点がメリットといえます。既存のインターネット回線を活用するため、専用の物理回線が不要で、経済的です。


      また、リモートワークを行う従業員や外部の取引先が、安全にネットワークにアクセスできる環境を提供することができます。さらに、設置や運用が容易で、ネットワークの拡張や変更もスムーズに行うことができ、柔軟性が高いといえるでしょう。


      ・VPNのデメリット

      一方で、VPNはセキュリティ上の懸念が伴います。インターネットを利用する場合、データの暗号化やアクセス制御など、適切なセキュリティ対策が不可欠となります。


      また、通信速度はインターネット回線の状況に左右されるため、利用者が多い時間帯や帯域幅が限られている場合には、速度低下が発生することがあります。

       

       

      2-3. 法規制の遵守

      個人情報保護法の遵守は、企業に課された社会的責任でもあります。

      法改正やガイドラインの変更があれば、すみやかに自社の対応を見直すことが求められます。


      また、海外取引がある企業では、GDPR(EU一般データ保護規則)など各国の個人情報保護に関する規制にも対応が必要です。法規制を遵守することは、企業の信頼性を高める上で重要な基盤といえるでしょう。

       

       

       

      3. 閉域網のセキュリティは安全?

      閉域網は、インターネットを利用したネットワークに比べて、外部からのアクセスが制限されているため、高い安全性が期待されます。しかし、適切な管理や運用が行われていない場合、セキュリティリスクが高くなります。


      そのため、閉域網の利用者は、リスクとその対策について深く理解し、予防策を徹底しなければなりません。

       

       

      3-1. 閉域網におけるセキュリティリスク

      閉域網には、以下のようなセキュリティリスクが存在することを理解しておきましょう。


      ・内部からの不正アクセス

      閉域網内で通信が限定されているとはいえ、内部の従業員が意図的または誤って不正アクセスを試みるリスクがあります。とくに、アクセス権限が適切に管理されていない場合、重要なデータが流出する可能性が考えられます。


      ・設定ミス

      ネットワーク機器やセキュリティ設定が誤って構成されることにより、閉域網の脆弱性が露呈するケースがあります。たとえば、ファイアウォールの設定ミスや不要なポートが開かれている状態などが挙げられます。


      ・デバイスの脆弱性

      閉域網に接続されるデバイス自体がサイバー攻撃の対象になることがあります。とくに、ソフトウェアやファームウェアが最新状態に更新されていない場合、攻撃者が脆弱性を突いて閉域網内に侵入する可能性があります。


      ・外部からの攻撃

      閉域網は外部から隔離されているため直接的な攻撃には強いものの、サプライチェーン攻撃や標的型攻撃により、間接的なリスクを受けることがあります。

       

       

      3-2. 閉域網でのセキュリティ対策

      閉域網を安全に運用するためには、以下のような対策を徹底することが重要です。


      ・認証・アクセス制御の強化

      許可されたユーザーだけが閉域網にアクセスできるようにするために、多要素認証(MFA)や強固なパスワードポリシーを導入します。また、ユーザーごとのアクセス権限を適切に設定し、不要なアクセスを制限します。


      ・通信やデータの暗号化

      通信内容を保護するために、VPNや暗号化プロトコル(例: TLS、IPSec)を利用します。また、端末内のデータも暗号化して保存することで、漏洩した場合の対策とすることができます。これにより、閉域網内のデータが盗聴されたり改ざんされたりするリスクを低減できるでしょう。


      ・定期的な監視と運用管理

      ネットワーク全体を監視するシステムを導入し、不審なアクセスや異常な通信をリアルタイムで検出します。また、定期的なログ解析を行い、潜在的な脅威を早期に発見します。運用管理においては、アップデートやパッチ適用を迅速に行うことが重要です。


      ・セキュリティ教育の実施

      内部リスクを最小化するためには、社員や関係者への教育が欠かせません。フィッシング攻撃の認識や、セキュリティルールの遵守を徹底させることで、人的なリスクも低減しましょう。

       

       

       

       

      まとめ

      閉域網は、企業ネットワークのセキュリティを強化し、効率的な通信を実現する手段として有効です。


      専用線やVPNなどの選択肢は、それぞれにメリット・デメリットがあり、企業の予算やニーズに応じて適切な方法を選ぶことが求められます。また、閉域網でのセキュリティリスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが、安全なネットワーク運用の鍵となります。