業務のデジタル化が進む中では、データを有効活用するための仕組みはもちろん、サイバー攻撃の脅威からデータを守るための仕組みづくりも欠かせません。
ITセキュリティの対策方法にはさまざまなアプローチがありますが、近年導入が進んでいるのがIT資産管理ソフトです。この記事では、そんなIT資産管理ソフトとはどのようなツールなのか、導入メリットや機能について解説します。
IT資産管理ソフトは、一言で言えば会社の情報資産やITハードウェアをデータベースで一元管理し、外部の脅威から保全することを目的としたサービスです。IT資産に関する情報をソフトが一括で自動管理するので、効率的な管理業務を実現します。
ハードウェアやソフトウェアのシリアル番号やライセンス番号を記録して点検・更新漏れがないよう情報を把握する手伝いをしてくれるサービスです。
組織の規模が大きくなるほど、そして業務のデジタル化が進むほど、IT資産の管理を手動で行うことは難しくなるものです。IT資産管理ソフトを導入することで、そのような負担を解消し、組織の生産性や成長力を改善することができます。
IT資産管理ソフトが注目される背景としては、以下の3つの理由が挙げられます。それぞれについて、詳しく解説します。
デジタルトランスフォーメーション(DX)が日本でも広く推進されるようになったことは、IT資産管理ソフトの需要拡大に大きな影響を与えています。
デジタル業務が従来よりも増えたことで、その資産管理負担も増加し、ソフトの導入による恩恵は相対的に大きくなっていると言えるでしょう。
企業の情報資産を狙ったサイバー攻撃は世界中で増加しており、日本も例外ではありません。特に日本企業のセキュリティ対策の遅れは広く知られつつあり、すでに多くの被害事例が報告されています。
今後もサイバー攻撃のリスクは大きくなり続けることが予想される以上、企業も相応の対策が求められるのが現状です。IT資産管理ソフトの導入により、攻撃のリスクを抑えるとともに、万が一被害を受けた際にそのことを迅速に把握し、対処できる仕組みづくりを整備しなければなりません。
IT資産は外部からの攻撃リスクだけでなく、内部のインシデントによって被害を被ることもあります。
認可されている以上の端末でITソフトのライセンスを使いまわしていたり、アップデートが行われていないOSを使い続けていたり、社用端末を紛失してしまったりといった事態です。
このようなリスクを少しでも小さくするためにも、IT資産管理ソフトを導入して社内のIT資産の運用状況を把握し、改善を進めることが求められます。
IT資産管理ソフトの導入は、導入企業に複数のメリットを与えます。具体的にどのような恩恵が得られるのか、ここで確認しましょう。
IT資産管理ソフトの導入は、資産管理担当者の業務効率化へ大きく貢献します。ハードウェア・ソフトウェアの状態に関する情報を一元管理し、アップデートを一斉に行ったり、点検スケジュールの設定などを効率よく行ったりできます。
問題の検出も自動で行われるので、手動で社内の機器を確認する必要もありません。管理業務担当者の負担を減らして残業の削減を進めたり、人員を減らし別の部門へリソースを再配置したりすることも可能になるでしょう。
IT資産管理ソフトの導入は、セキュリティ強化において重要な役割を果たします。セキュリティアップデートを漏らさず迅速に実施し、重大なセキュリティホールが生まれてしまう事態を回避可能です。
また、機器やソフトウェアに何らかの問題があった場合も自動で検出することで、迅速な対象を担当者に促し、問題が放置されるケースを回避できます。常に端末の運用状況や持ち出し状況なども把握して、紛失や盗難のリスクも小さく抑えられるでしょう。
社員が端末を外部へ不正に持ち出したり、認可されていないソフトウェアをダウンロードして使用したりといった、組織への不利益をもたらしかねない不正行為についても、常にモニタリングすることで未然に防ぐことができます。
最近では転職先などへ元社員が社内の機密情報を持ち出すなどの事態も確認されていますが、IT資産管理ソフトがあれば、このような持ち出し行為についても迅速に把握することができるでしょう。
業務のデジタル化は重要とはいえ、過剰なIT投資はかえって組織の財務状況を悪化させる場合があります。こういった過剰投資のリスクを避ける上でも、資産管理ソフトが役立ちます。
社内のハードウェアとソフトウェアの台数や契約状況を常に正確に把握し、必要な設備投資を計算するための重要な情報を与えてくれるでしょう。
IT資産管理ソフトは、具体的にどのような機能によって導入企業に恩恵を与えるのでしょうか。ソフトの主な機能について、解説します。
ハードウェアの契約管理は、IT資産管理ソフトの基本機能です。ハードの契約開始日や契約期間などを把握できます。
ソフトウェアのライセンスがいつからいつまでなのか、何台分のライセンスを有しているのかなど、実態のないライセンスについても正確に管理ができます。
管理下にある端末に対して、ソフトウェアを一斉に配布し、インストール業務を効率化します。またアップデートがあった際には自動で更新を行い、更新業務負担を削減可能です。
禁止ソフトの運用をあらかじめ制御し、ダウンロードや起動を未然に防ぐこともできます。運用を未然に防ぐことで、ソフト経由での情報流出などを回避できるでしょう。
IT資産管理ソフト導入に際しては、
• 導入目的に沿った機能を備えているか
• 何台のデバイスまで制御できるか
• 労務管理機能を備えているか
といったポイントを抑えられていることが重要です。
IT資産管理ソフトにもさまざまな種類があるため、自社の導入目的に則った機能を備えた製品を選ぶことが大切です。
まずは自社の課題を把握し、課題の解決に役立つ機能を備えたソフトを厳選して検討しましょう。
自社の運用規模に応じて、IT資産管理ソフトを選ぶというのも大切です。そのソフトやプランでは何台のデバイスを制御できるのか、保有端末の数が多い場合には特に気をつけて確認しましょう。
端末やソフトの運用状況をログから把握できるシステムであれば、社員の労働時間を把握し、残業などの発生を抑制できます。働き方改革にもつながるIT資産管理ソフトの使い方も検討してみましょう。
この記事では、IT資産管理ソフトでできることや主な機能、そして導入のメリットについて解説しました。
DXが普及するに伴い、IT資産を管理するための環境整備の必要性も高まっています。社内におけるIT資産管理状況を見直し、導入を検討しましょう。