企業セキュリティを強化し、重要な情報を保護するために、パスワードの適切な管理は不可欠です。
パスワードが未設定のままや脆弱な状態で使っていると、情報漏洩のリスクが高まり、個人や企業のセキュリティが危険にさらされます。
この記事では、強力なパスワードの作成方法、パスワードの適切な管理、認証情報漏洩から身を守るための戦略、そして最新のパスワード管理のベストプラクティスについて解説します。
パスワードは、企業セキュリティにおいて不可欠な要素ですが、その役割と危険性を正しく理解することは、セキュリティ意識を高める上で重要です。
ここでは、パスワードがどのように機能し、適切な設定をしていないと、どのようなリスクをもたらすかについて、詳しく見ていきましょう。
パスワードは、企業システムやオンラインアカウント、デバイスへのアクセスを管理するための最も一般的な手段です。
もっと簡単にいうと、パスワードはデジタル世界における「鍵」のようなものです。正しいパスワードを知っていることで、重要なデータや個人情報を守ることができます。
パスワードは、すべての機密情報やプライバシーを確保し、不正アクセスから守るための重要な要素となります。
パスワードを未設定のままシステムを利用することは、セキュリティ上の大きなリスクです。未設定のパスワードは、不正アクセスを許可しているのと同じ意味ともいえるでしょう。
これは、誰でもアカウントに簡単にアクセスできる状態を意味し、個人情報や機密データに対する脅威を増大させます。したがって、企業システムやオンラインサービスでアカウントを持つ場合、最低限のセキュリティ対策として、適切なパスワードを設定することは不可欠となります。
パスワードの重要性を理解し、適切な対策を講じることが、ITセキュリティの基本です。
脆弱なパスワードは、簡単に推測や解読される可能性の高いものです。たとえば、「password」や「123456」など、予測しやすい単語や数字の組み合わせ、辞書に載っている一般的な単語は危険です。
また、自身の名前、誕生日、家族の名前など、容易に入手可能な個人情報は使うべきではありません。短いパスワードも解読が容易なため、最低でも8文字以上を設定しましょう。
キーボード上での単純なパターンも使用してはいけません(例:「qwerty」や「asdfgh」)。脆弱なパスワードは、簡単に解読され、アカウントの乗っ取りリスクを高めます。セキュリティを向上させるために、強力で予測困難なパスワードを使用することが極めて重要です。
パスワード管理徹底のために、どんな点に気をつけるべきなのか、パスワードの作成や管理、ルールの遵守という観点で詳しく説明します。
強力なパスワードを設定することは、悪意ある人間や外部からの攻撃に対する基本的な対策です。
以下の点に注意し、強力なパスワードを作成することを心がけましょう。
①パスワードの長さ
パスワードには、少なくとも12文字以上を設定しましょう。システムによっては、上限の文字数が設定されていることもありますが、極力長い文字列とするべきです。
できるだけ長いパスワードにすることは、ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)に対して有効です。
②複雑な文字列
パスワードには大文字、小文字、数字、特殊文字(例:!、@、#、$、%など)を組み合わせると、複雑になります。文字の種類が増えると、推測しにくく、解読に時間もかかることになり、安全性が増すでしょう。
③知っている単語は使わない
辞書に載っているような単語や人の名前、地名などの固有名詞は使ってはいけません。容易に推測されてしまいます。通常では、読めないような文字列、無意味な文字列にしましょう。
パスワードの使用ルールを徹底することは、セキュリティの一環です。
①利用ルール
パスワードに関するポリシーを策定し、全ての利用者に遵守を求めましょう。これにはパスワードの作成ルールも含まれます。
また、同じパスワードを複数のアカウントで使い回さないことも重要です。異なるアカウントには別なパスワードを使用すべきです。一つのパスワードが破られても、他のアカウントに影響を与えないようにするためです。
②変更ルール
パスワードの変更ポリシーを設定し、利用者に定期的な変更を促しましょう。また、過去のパスワードとの差分を判別するためのルールや、チェックツールなども導入しておくと良いでしょう。(例:過去5回分のパスワードと比較して同じものにはさせないようにする、など)
③従業員への周知徹底
上記のルールを踏まえ、情報セキュリティガイドラインとして明確にしましょう。そのうえで、従業員に対するセキュリティ教育を行い、周知徹底するようにします。
認証情報とは、本人であることを確認するために使用する情報の総称であり、パスワードもこの認証情報に含まれます。認証情報には、パスワード以外に以下のようなものがあります。
・ユーザー名
・生年月日
・電話番号
・メールアドレス
・指紋
・顔認証
つまり、認証情報はパスワードだけを指すのではなく、パスワードを含む本人であることを確認するために使用するあらゆる情報を指します。この認証情報の漏洩は、セキュリティを脅かす深刻な問題ですが、なぜ漏洩が発生するのでしょう。
以下で認証情報漏洩の主な原因と対策について説明します。
①フィッシング詐欺
フィッシング攻撃は、ユーザーに偽のウェブサイトや電子メールを通じて、個人情報や認証情報を提供させ、その情報を不正に入手しようとする詐欺行為です。ユーザーが偽のリンクをクリックすると、詐欺者は認証情報を盗むことができます。
フィッシング攻撃から身を守るためには、以下の対策を取りましょう。これらの機能が組み込まれたセキュリティ対策アプリやツールを使うことも有効です。
・偽のウェブサイトへのリンクをクリックしない
不審なリンクや電子メールに注意し、クリックしないようにしましょう。
・URLを確認する
ウェブサイトにアクセスする際には、常にURLを確認し、正当性を確保しましょう。
② 弱いパスワード
弱いパスワードは、簡単に推測されたり解読されたりする可能性が高いです。強力なパスワードを使用し、セキュリティを強化するために以下の対策を取りましょう。
長い文字列、複数の文字種を使った複雑で協力なパスワードを作成し、セキュリティを強化しましょう。また、パスワード管理アプリケーションを使用して、システムやアカウントごとに異なるパスワードを設定しておくことも有効です。
③ 不正アクセス
不正アクセスとは、本来アクセス権限のない悪意を持った人間が、システムやアカウントに接続し侵入しようとする行為です。これは、強力なパスワードだけでは防げないことがあります。
不正アクセスから身を守るためには、強力なパスワード設定はもちろん、二要素認証などの追加のセキュリティを導入する必要があります。二要素認証は、通常のパスワードだけでなく、別の認証要素(例:スマートフォンアプリで生成されるワンタイムパスワードなど)を必要とするため、さらなるセキュリティ向上を実現します。
セキュリティを強化し、機密情報を守るために、パスワードの適切な管理は不可欠です。ここでは、強力なパスワードの設定はもちろん、それ以外に対応すべきことをベストプラクティスとして紹介しましょう。
二要素認証とは、IDとパスワードに加えて、別の要素を組み合わせて本人確認を行う認証方式です。二要素認証で使用する要素には、以下のようなものがあります。
・所有要素:本人が所有している情報(スマートフォンやトークンなどのデバイスなど)
・生体要素:本人の身体的な特徴(指紋や顔など)
・知識要素:本人だけが知っている情報(ワンタイムパスワードや秘密の質問など)
二要素認証は、パスワードのみの認証方式に比べて、セキュリティを大幅に向上させることができます。近年では、多くの企業や組織で二要素認証が導入され始めており、積極的に導入して不正アクセスから守りましょう。
アカウントやシステムの監視を定期的に行い、不正アクティビティを検出することも必要です。また、退職者のアカウントがいつまでも残っていたり、不要なアクセス権限を持つアカウントがあったりしないかなどを確認し、セキュリティを強化します。
専用のツールやソフトを活用することも検討しましょう。ソフトウェアやオペレーティングシステムを最新の状態に保つことも重要です。
従業員が適切なパスワードを設定しているか、企業側が積極的に確認することも重要です。パスワードの脆弱性チェックを行うツールやアプリを導入し、安全なパスワードが設定されているか、ユーザーに通知することで、早急な対処を促すこともできます。
従業員が強力なパスワードを自ら使用し、セキュリティ向上に貢献してくれるように仕組みを作っていくことも大切です。
セキュリティリスクを最小化するために、パスワードの役割と危険性について学びました。パスワード管理を徹底し、現実的なベストプラクティスを導入することで、システムのアカウントやデバイスのセキュリティを向上させることができます。
セキュリティを重視し、適切な対策を講じることは、企業の機密情報や個人データを守るために不可欠といえるでしょう。