昨今、厚生労働省の「働き方改革」の推進もあり、企業はリモートワークなどの柔軟性が求められています。また、リモートワークが原因でサイバー攻撃の被害を受ける人も多くなってきました。
社員にリモートワークを許可したものの、サイバー攻撃などセキュリティ面で心配されている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、社員に求められるセキュリティリテラシーやその必要性、具体的な教育方法6選について解説します。
読み終わったときには、社員のセキュリティリテラシー向上のアイデアが認識でき、リテラシー向上に向けた行動が取れるようになるでしょう。
セキュリティリテラシーとは、主にパソコンやスマホなどの情報機器やインターネットを利用した技術と企業の機密情報、顧客情報の情報セキュリティの重要性を理解して、それらを取り扱うための知識と能力があることをさしています。
「セキュリティ」と「リテラシー」それぞれの意味から成り立ちについて理解しましょう。
セキュリティは、主にIT業界では企業情報や顧客情報などのデジタルデータを保護することです。これを情報セキュリティとも呼びます。
リテラシーはもともと読み書きする能力と言われています。現在では、あることを適切に理解・分析して活用できる知識や技能という意味で使われています。
つまり、企業の各社員が企業情報や顧客情報などのデジタルデータを守るために、守るための知識や手法を理解して活用できる知識と能力が必要です。
社員のセキュリティリテラシーが低い場合、さまざまなリスクに脅かされてしまいます。
例えば、怪しいメールを開いたときにランサムウェアに感染してしまったり、標的型攻撃に気づかずに機密情報にアクセスされてしまったりします。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2022年に発表の、2021年に発生した社会的に影響が大きかったと考えられる組織の情報セキュリティにおけるリ事案ついて確認しましょう。
組織における情報セキュリティの脅威ランキング上位3位は、上から「ランサムウェアによる被害」「標的型攻撃による機密情報の窃取」「サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃」です。
引用:https://www.ipa.go.jp/files/000096258.pdf
これらの原因として、使用しているパソコンの脆弱性を狙うことやメール内のリンクを開くことでウイルスに感染させるなどが挙げられます。そして、根本的な原因は社員がそれらのリスクを把握していないリテラシーの低さがあるため、セキュリティリテラシー教育を行う必要性があるのです。
ここからは社員のセキュリティリテラシーを向上させるためのアイデア6選を紹介します。組織全体としてリテラシーを向上させるものからチーム単位で個人に当事者意識を持たせる取り組みも解説するので参考にしてみてください。
情報セキュリティ専門の部署を設立することで、組織全体を横断した取り組みが可能になります。各部署にて情報セキュリティ対策をしている場合は、部署によって取り組みに差が発生し、結果としてリテラシーのレベルにも差が発生してしまいます。専門部署を設立することで、組織全体としてのリテラシーレベルを一定に保てるでしょう。
しかし、部署の設立は簡単に行えるものではありません。大切なことは組織のリテラシを一定のレベルに揃えることなので、組織としてセキュリティ対策を揃えるなどの工夫をするとよいでしょう。
セキュリティに関するマニュアルの整備をすることで、社員全員のセキュリティリテラシーレベルが安定します。従来は怪しいメールが来たときの判断は個人のセキュリティリテラシーに頼っていたのでリスクが大きいです。
しかし、怪しいメールの特徴やリスク、主な攻撃手口、脅威と影響などをマニュアルに記載し、会社全体に展開することでリテラシーのレベルを一定に保てます。そのため、怪しいメールのリンクを開いてしまったことによるウイルスへの感染などを未然に防ぐことができるでしょう。
全社員に対して研修を行うことで、組織全体のセキュリティリテラシー向上が期待できます。なぜなら、社員に対して情報管理に関する意識を高めるきっかけとなるからです。
各研修でテーマを決めて取り組み、前回研修からの社内でのセキュリティ違反件数やその内容を展開することで当事者意識が芽生えるでしょう。実際に発生した事例を展開するときは、どういった経緯で違反が発生し、いつ誰に報告すれば良いなどできるだけ具体的に伝えることが大切です。
また、外部企業による「e-Learning研修」といった、インターネットを利用した研修もおすすめです。各社員が好きな時間・どんな場所でも学習でき、音声と動画のため学習理解度を深められます。
定期的な研修に加えて、テストを行うことでより理解を深められます。研修ごとに1番伝えたいことやこれだけは守ってほしいことをテスト内容に含めましょう。インプットした内容をアウトプットさせるため忘れにくくなります。
テストが1度きりで終わってしまうことや毎年決まって1回の実施だけの場合、実施する意味がないのと同様です。できれば月に1回、最低でも四半期に1回は実施すると知識が定着するでしょう。
ただし、毎月テストを作成する時間がない人もいらっしゃると思います。その場合は、これだけは守ってほしい内容をチェックリスト化し、毎月、全社員にチェックしてもらいましょう。繰り返し行うため、いざというときに思い出しやすくなります。
所属チームにて朝会があれば、その場で関心のあるセキュリティニュースを共有することをおすすめします。なぜなら、セキュリティニュースを発表する必要があることから当事者意識を強制的に作り出せるからです。ほとんどの人は研修やニュースに対して、当事者意識がなく、いざという時に忘れてしまいがちでしょう。
例えば、チームで毎日誰か1人がニュースについて発表を行い、次の担当者が必ず質問するルールを作ります。そうすることで、発表するために自分ごととして理解を深め、質問するためにちゃんと聞かなければならない構図が強制的に作れます。
チームの状況に応じて週に1回実施など工夫しても構いません。セキュリティリテラシーはこのように定期的に積み重ねていくことが大事です。
ここまで読まれた読者の中には「セキュリティリテラシー向上の必要性やアイデアは分かったけど、そんな専門的な人材がいない、そもそも体力がない」と思った人もいらっしゃるのではないでしょうか。
そう思われた人には、セキュリティ対策ソフトの導入をおすすめします。なぜなら、より早く簡単に企業の情報セキュリティを保護できるからです。
社員のセキュリティリテラシーを向上させることは必要なことですが、全社員のリテラシーを向上させるには前述からわかるように長期的に取り組む必要があります。そのため、導入したその日から大切な情報資産を保護できるセキュリティ対策ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
本記事では、「セキュリティリテラシーとは」「セキュリティリテラシー教育の必要性」「具体的な教育方法のアイデア6選」を解説してきました。
セキュリティリテラシーとは、企業の各社員が企業情報や顧客情報などのデジタルデータを守るために、守るための知識や手法を理解して活用できる知識と能力のことです。
そのため、企業の大切な情報資産を保護するために、全社員へのセキュリティリテラシーの教育が必要となります。
具体的な教育方法では、「情報セキュリティの担当部署を設立する」「セキュリティに関するマニュアルの整備」「社員研修の実施」「定期的なテストやセキュリティチェックリストの実施」「朝会などで情報セキュリティに関するニュースを共有する」などが挙げられました。
しかし、これらは長期的に取り組む必要があり、結果が伴うまではリスクが存在します。少しでもセキュリティに対するリスクを減らしたい人は、より早く簡単にセキュリティ対策が行えるセキュリティ対策ソフトを導入してみてはいかがでしょうか。